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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(オ)349号 判決 1956年11月15日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

論旨は、法令違反の主張であるが、民法五四一条の解除は債務不履行を原因とするものであり、本件の解除は、債務不履行を原因とするものではなく、罹災都市借地借家臨時処理法七条に基きなされるものであるから、これに民法五四一条を適用する余地はない。また、原審の認定した事実関係の下においては、本件解除は未だ権利の濫用とはいいがたく、更に相手方の弁護士に弁護士法二六条に違反した行為があつたからといつて、それによつてなされた本件調停が当然無効のものであるということはできない。以上の諸点に関する原審の判断はいずれも正当であつて、所論は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔)

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